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EMMYLOU HARRIS 「RED DIRT GIRL」



物事には、タイミングというものがある。時代に合致しないものは、当然消滅の憂き目にあうものだが、しっかりと腰の入ったものは、その積み重ねによって流されない強みを持つに至り、埋もれない輝きを獲得するのだろう。あるカテゴリーで確固とした地位をしめていた人間が、そのワクを知りつつもその領域を拡大する作品をまとめあげるのに、どんな時間を過ごしたのだろうか?

 西暦2000年に発表されたこのアルバムは、ポッと出た偶発的なものなのか?満を持して出るべくして出たものか? 当然、後者であろう。あまりに結果論的で、簡単に必然などとは言うまい。しかし、長いキャリアを持つ彼女は、90年代においても微妙に変化しつつ、良質な作品を生み出してきていた。彼女の歌に対する姿勢は、カントリーを玩具とする抽象的な戯れではなく、「ルーツ」重視の底流が90年代半ばに至って顕在化し、この作品にてさらに開花したものである。それは当然、時代の新陳代謝をも考慮に入れたものだろう。若かりし頃、意志の強そうなストレートヘアーの美人であった彼女は、凄味すら感じさせる成熟した姿に変貌している。プロデュースはダニエル・ラノワ一派のマルコム・バーン。こまかいニュアンスも感じられるが、大筋では浮ついたところのない堂々たる演奏。それに対峙する歌いっぷり。歌・演奏共、懐が深く、これが大人の歌というものだろう。この作品空間において有名ゲスト達は、個性を残しながらもエミルー色に染まっている。

 驚くべきことだが、ジャケット写真、広がりのあるサウンド、それぞれの楽曲の出来が統一感を持ち、ここまで合致した例は稀である。ここまでくればタイミングというよりも、何度たどりなおしても、肝心のところがぼやけて見えなかった本質が露わになったというべきだろう。エミルーは、アメリカの乾いた空気に潤いを与えるべく歌っているのだろうか? カントリーという着物に惑わされてはいけない。ジャンルという枠をとりはらっても聴くべきものがここにはある。


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