KATE RUSBY 「UNDERNEATH THE STARS」

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歌い手は自分の声と歌に酔う。やがて酔う事に慣れる。そして慣れる事は飽きる事でもある。


そんな陥りやすい罠をケイト・ラスビーは知らないのか、知っていたとしても引っかかっていないようだ。イギリスのトラディショナルソングを発掘し、自分でも作曲し地道な歌の営みを続けている。この作品は、個人名義では通算5枚目で2003年発表。プロデュースは夫でもあるジョン・マッカスカー。1974年、イングランド、サウスヨークシャー生まれ。


いささかも迷いのない生真面目な歌い方で、よく聴くとヨークシャー訛り?もあるようだが、正確な音程と濁りのない声はほんとうに美しい。それは強がっていてもいちばん無防備な部分に届くような声で、知らないうちにその強がりがそっと壊されるようである。披露される歌の数々は、シンプルなアコースティック楽器の伴奏によってより際立ち、聴き終わるたびに柔らかい潔さと透明感が耳に残される。


何に対しても平等に感応する機会が与えられている。感応したらそれを、ふさわしい形で他の人に伝える事をケイト・ラスビーは迷うことなく行なっている。そこには未来に向けて、現在と過去の幸せな結びつきが見られ、そういった意味では新たな「古典」を作り出しているように思われる。罠に引っかかっていないことがいかに珍しいことか、繰り返し聴いたあとに好ましく悟らされる。


男(私)は愚かだから、女の歌に呼応してしまうのだろうか?
愚かでもかまわない。どうやら治ってほしくない「甘い病気」にかかっているようである。


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