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日本酒 第二回 「三千盛」



 かつての地酒ブームにおいては「淡麗辛口」は、ひとつの褒め言葉としての意味合いが強かった。しかしそれは、水で割ったアメリカンのようなイメージに徐々にすりかえられたように思う。現在では、「造り」そのものにスポットが当てられ、極力添加物を避けた純米酒、ひいてはその果実であるいわゆる「味ののった」酒、また燗をして崩れないボディのある酒、等が静かに注目されている。

 この「三千盛」(ミチサカリ)は、水口と称され、淡麗辛口の極致のような酒である。炭素濾過によって雑味を排し、さわりない飲み口をめざすその手法は、日本酒本来の山吹色で、味ののった純米酒こそ正しいと標榜する人にとっては、対極に位置するものである。しかし、正しさのみにて日本酒は飲まれるものではない。甘い日本酒に辟易している向きには、この酒は舌を洗われる思いだろう。あえて高い精白を保ち、軽く、辛く、水のような酒を造り続けることは、賛否両論あれど、一つの見識と受け止めたい。

 かつて、日本酒には初心者の友人に「三千盛」を飲ませたことがあった。ラベルを見て「サンゼンモリ」とのたまった彼は、一口飲むなり「うわー、ビリビリ辛い!」。ちと荒療治だったかと思ったが、三か月程たったあと彼が電話をかけてきた。話を聞くと、どうやらあのインパクトが忘れられず、いろいろ他の酒も飲み比べたがやっぱりアレだね、との事。キチンとミチサカリの名前も覚え、急に諸銘柄にくわしくなった友人の声は、うれしそうに弾んでいた。

 イメージとして「端正」や「水のような」という評価をもつこの酒については、いろいろな指摘を得るだろうが、一刀両断の「切れ味」を持つこの酒の良さは、失われることはないだろうと思う。
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