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Yo-Yo Ma (´97) 聴き終わったあとに残るものは、腕っぷしの強さだ。旅人の衣服をどちらが脱がせることができるかで、風と太陽が競争する童話があったが、マは風そのものだ。聴かせるテクニックは豊富。それも表現のひとつだろう。だが表現はひとつだけではない。表面は金なのに鉄の味がする。旧譜よりも数段上の出来だが、ビルスマ先生に何を習ったのかな?Pieter Wispelwey (´98) バロックアプローチの成功作。ニュア...

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Lluis Claret (´93)  可もなく不可もなく、色でいえばグレー一色といったところ。口当たり良くソツなく弾いているが、それ故何の抜けもないだろうといった、一種あつかましさを感じるのは私だけだろうか? ソツがないだけの音楽に、心を動かされたことはない。伝わってくるものが、中心からほんの少し離れているように思える。Antonio Meneses (´93) ライナーノーツによれば、使用楽器はかつてカザルスが使っていた...

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Rocco Filippini (´89) 遊びが少なく、真摯に取り組んでいる。正確なテクニックと、楽曲にのめりこむのではなく、ほんの少し距離をおいたような客観性めいたものを感じる。エコーの少ない録音状態で楽器(ストラド)の音色の良さも堪能できる。内容も繰り返し聴くに足りる演奏だ。Robert Cohen (´90) 楽曲を自分の側に引き寄せて、それを個性(我流)と呼ばせるようなところから離れた地点にいる、と思わせる演奏。僅...

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Anner Bylsma (´79) バロックアプローチの代表の一人。その名に恥じない出来栄え。特にNo.3の凄み。No.6では少し失速気味か。この録音には傑出した作品のみに感じられる深み、ある意味のそっけなさ、品格を感じる。ワインで言えばフィネス溢れるブルゴーニュの古酒の趣き。聴き継がれていくべき作品だ。Yo‐Yo Ma (´82) すばらしいテクニックだが、荒っぽく技量のひけらかしのようをに思えて、心にしみじみ伝わっ...

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 気に入った曲(J・S・バッハ 無伴奏チェロ組曲)があって、それをたどるといろいろな事が見えてくる。解釈、楽器、録音状態、時代背景等。それぞれの違いが面白くて、機会を見つけては買うようにしていたら、気がつくと80枚以上が手元にある。逆に言えば、それ程多くの演奏家に取り上げられる事自体、曲の出来が素晴らしいという証明である。 自由な立場から聴いたままをラフなスケッチにまとめてみた。スケッチというより...

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物事には、タイミングというものがある。時代に合致しないものは、当然消滅の憂き目にあうものだが、しっかりと腰の入ったものは、その積み重ねによって流されない強みを持つに至り、埋もれない輝きを獲得するのだろう。あるカテゴリーで確固とした地位をしめていた人間が、そのワクを知りつつもその領域を拡大する作品をまとめあげるのに、どんな時間を過ごしたのだろうか? 西暦2000年に発表されたこのアルバムは、ポッと出...

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時は20世紀末、ケルト人楽士部隊が、ガリアの首都パリに攻め込む。ドーナル・ルニー将軍が率いるその楽士部隊の名は「The Bothy Band」。精鋭6名によるこの部隊は、保守的なトラッドスタイルをリズム武装して昇華させたユニゾン攻撃を得意とし、時には激しく、時にはじわじわと相手方を襲う。歴史が教えるところによれば、理(ことわり)の通じない相手との交渉には2通りあって、1つはお互いの利害の一致を目論...

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真夏の天候で、頭がやや日常からそれ気味になった時に、ある一曲を思い出す。このアルバムの5曲目に入っている「夏、夏」である。古いアルバムだが忘れられない、鈍くも妖しく光彩を放つ作品である。  1970年制作で、フランス人のブリジット・フォンテーヌとアレスキー・ベルカセムの二人に、アート・アンサンブル・オブ・シカゴ(以下AEC)がバックを務める。二人の音楽は多分に芸術至上主義的な志向と、ともすれば呪術...

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歌い手は自分の声と歌に酔う。やがて酔う事に慣れる。そして慣れる事は飽きる事でもある。 そんな陥りやすい罠をケイト・ラスビーは知らないのか、知っていたとしても引っかかっていないようだ。イギリスのトラディショナルソングを発掘し、自分でも作曲し地道な歌の営みを続けている。この作品は、個人名義では通算5枚目で2003年発表。プロデュースは夫でもあるジョン・マッカスカー。1974年、イングランド、サウスヨー...

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スケッチ オブ バッハ「無伴奏チェロ組曲」 その5

Yo-Yo Ma (´97) 聴き終わったあとに残るものは、腕っぷしの強さだ。旅人の衣服をどちらが脱がせることができるかで、風と太陽が競争する童話があったが、マは風そのものだ。聴かせるテクニックは豊富。それも表現のひとつだろう。だが表現はひとつだけではない。表面は金なのに鉄の味がする。旧譜よりも数段上の出来だが、ビルスマ先生に何を習ったのかな?Pieter Wispelwey (´98) バロックアプローチの成功作。ニュア...

スケッチ オブ バッハ「無伴奏チェロ組曲」 その4

Lluis Claret (´93)  可もなく不可もなく、色でいえばグレー一色といったところ。口当たり良くソツなく弾いているが、それ故何の抜けもないだろうといった、一種あつかましさを感じるのは私だけだろうか? ソツがないだけの音楽に、心を動かされたことはない。伝わってくるものが、中心からほんの少し離れているように思える。Antonio Meneses (´93) ライナーノーツによれば、使用楽器はかつてカザルスが使っていた...

スケッチ オブ バッハ「無伴奏チェロ組曲」 その3

Rocco Filippini (´89) 遊びが少なく、真摯に取り組んでいる。正確なテクニックと、楽曲にのめりこむのではなく、ほんの少し距離をおいたような客観性めいたものを感じる。エコーの少ない録音状態で楽器(ストラド)の音色の良さも堪能できる。内容も繰り返し聴くに足りる演奏だ。Robert Cohen (´90) 楽曲を自分の側に引き寄せて、それを個性(我流)と呼ばせるようなところから離れた地点にいる、と思わせる演奏。僅...

スケッチ オブ バッハ「無伴奏チェロ組曲」 その2

Anner Bylsma (´79) バロックアプローチの代表の一人。その名に恥じない出来栄え。特にNo.3の凄み。No.6では少し失速気味か。この録音には傑出した作品のみに感じられる深み、ある意味のそっけなさ、品格を感じる。ワインで言えばフィネス溢れるブルゴーニュの古酒の趣き。聴き継がれていくべき作品だ。Yo‐Yo Ma (´82) すばらしいテクニックだが、荒っぽく技量のひけらかしのようをに思えて、心にしみじみ伝わっ...

スケッチ オブ バッハ「無伴奏チェロ組曲」 その1

 気に入った曲(J・S・バッハ 無伴奏チェロ組曲)があって、それをたどるといろいろな事が見えてくる。解釈、楽器、録音状態、時代背景等。それぞれの違いが面白くて、機会を見つけては買うようにしていたら、気がつくと80枚以上が手元にある。逆に言えば、それ程多くの演奏家に取り上げられる事自体、曲の出来が素晴らしいという証明である。 自由な立場から聴いたままをラフなスケッチにまとめてみた。スケッチというより...

EMMYLOU HARRIS 「RED DIRT GIRL」

物事には、タイミングというものがある。時代に合致しないものは、当然消滅の憂き目にあうものだが、しっかりと腰の入ったものは、その積み重ねによって流されない強みを持つに至り、埋もれない輝きを獲得するのだろう。あるカテゴリーで確固とした地位をしめていた人間が、そのワクを知りつつもその領域を拡大する作品をまとめあげるのに、どんな時間を過ごしたのだろうか? 西暦2000年に発表されたこのアルバムは、ポッと出...

THE BOTHY BAND 「AFTER HOURS」

時は20世紀末、ケルト人楽士部隊が、ガリアの首都パリに攻め込む。ドーナル・ルニー将軍が率いるその楽士部隊の名は「The Bothy Band」。精鋭6名によるこの部隊は、保守的なトラッドスタイルをリズム武装して昇華させたユニゾン攻撃を得意とし、時には激しく、時にはじわじわと相手方を襲う。歴史が教えるところによれば、理(ことわり)の通じない相手との交渉には2通りあって、1つはお互いの利害の一致を目論...

BRIGITTE FONTAINE 「comme a la radio」

真夏の天候で、頭がやや日常からそれ気味になった時に、ある一曲を思い出す。このアルバムの5曲目に入っている「夏、夏」である。古いアルバムだが忘れられない、鈍くも妖しく光彩を放つ作品である。  1970年制作で、フランス人のブリジット・フォンテーヌとアレスキー・ベルカセムの二人に、アート・アンサンブル・オブ・シカゴ(以下AEC)がバックを務める。二人の音楽は多分に芸術至上主義的な志向と、ともすれば呪術...

KATE RUSBY 「UNDERNEATH THE STARS」

歌い手は自分の声と歌に酔う。やがて酔う事に慣れる。そして慣れる事は飽きる事でもある。 そんな陥りやすい罠をケイト・ラスビーは知らないのか、知っていたとしても引っかかっていないようだ。イギリスのトラディショナルソングを発掘し、自分でも作曲し地道な歌の営みを続けている。この作品は、個人名義では通算5枚目で2003年発表。プロデュースは夫でもあるジョン・マッカスカー。1974年、イングランド、サウスヨー...